精神的ショックから声が出なくなってしまったら

私は過去に精神的ショックから、声が出なくなったことがあります。まったく出なくなったというよりは、声が出づらくなってしまった、思うように声が出ないということになりました。

そこで今回は、私が精神的ショックから声が出なくなってしまったときのお話をしようと思います。同じような症状になられた方、いま声が出なくなって困っているという方にとって、お役に立つ内容になれたら幸いです。

目次

どんな声になってしまったか?

具合的にどんなふうになってしまったかというと、喉の奥が痙攣したように小刻みに震えて、声がちゃんと鳴らなくなりました。

声帯を輪ゴムに例えると、引っ張り合う力が上手く働かなくて、ちょうどいい力で引き合えない。狙った音が出ないというふうになりました。

そのとき録音した音源がこちら。

  • 異変を感じた日の声
  • 1日後の声
  • 4日後の声

4日目でもまだ揺らいでいるのがわかります。

完全に回復したのは2週間くらいでした。1週間でピッチが元通りになってきて、それから徐々に音色が充実して、元通りの声へと回復していきました。(YouTubeには2週間後の声も掲載しています。興味のある方はそちらもご参考ください)

声が出なくなってしまった間、私は何かステージに立ったり、歌ったりしなくてはいけないことがなかったので、休養に充てることができましたが、お仕事が入っていたらと考えるとゾッとします。

やってよかったこと①

声が元通りになるまでにやってよかったことが2点あります。

1点目はボイストレーニングです。

今までと同じように、同じやり方を続けました。

声が出なくなったからといって、今までのやり方を変えることは一切しませんでした。今までのトレーニングを同じように、喉の機能が回復するまで続けました。

そもそも「声」とは筋運動で出ています。

ですからボイストレーニングを通して、緊張で硬くなってしまった喉の中の筋肉を動かしていったのです。すると喉の中の神経支配がよくなり機能も回復し、結果、声が元通りになったわけです。

やってよかったこと②

2つ目は、リラックスを目的に呼吸を整えました。

リラックスを目的にとわざわざ書いたのは、声は発声器官を使って出ています。生理学的な観点では、「呼吸を変える=声が変わる」わけではないからです。発声器官との連携(反射)という点で呼吸器官も大事ではあるのですが……この辺はレッスンでお話しましょう!

さて、声を変えることを目的にではなく、リラックスを目的に呼吸を整えて、自律神経の乱れを整えていった私。

というのも、声が出なくなったとき、私のからだがガチガチに固まっていました。特に横隔膜です。

そこでこんなやり方を試してみました。必要なものは麵棒です。

麵棒に相当するものなら何でもOKですが、麺棒より細かったり、柔らかかったりしないほうがよいです。

  • 仰向けになる
  • 緊張で硬くなっているみぞおち部分を麺棒の柄で、息をゆっく吐きながら垂直に押していく
  • 内側が脈打つのを感じたら、ゆっくり麵棒を戻していく
  • みぞおちが柔らかくなるまで続ける

この方法である程度まで押していくと、内側から反発する力を感じます。ドクッ、ドクッとみぞおちが脈打つんです。

脈打つのを感じられてきたら、ゆっくり麵棒を戻していきます。これを柔らかくなるまで続けていきます。

これは昔、有名な劇団さんがウォーミングアップでやっていたやり方だそうです。その劇団さんの舞台に出演されていた方から教えてもらいました。

このやり方を3~4日くらい続けていたら、横隔膜が柔らかくなって呼吸が楽になりました。スーッと息が入ってくるようになって、本来の自然な呼吸ができるようになったのです。

自然と息を吐くことができたとき、涙がツーッと出てきました。あの感動は忘れられません。からだがほっとして、子どもみたいに喜んでいるのを感じました。

人間は感情のある生き物

今回なぜこのような話をしたかというと…

どんなにトレーニングで喉の中を動かしても、感情が乱れて、ましてや心が壊れてしまっては、やっぱり声は出ないのです。

あたり前っちゃあたり前ですが、声が出なくなってはじめて、ああ、人間は感情がある生き物なんだな~と実感したんです。

私は「歌う」とは、器(からだ)に精神を注ぎ込む作業だと捉えています。

歌うことを通して、私たちは自分の「」を表出させています。自分のからだを楽器に、音楽と私(=魂)の調和を実現することこそ、本来の「歌う」だと私は考えます。

ですから感情が乱れ、自律神経が乱れてしまえば、歌うことに没頭できなくなり、音楽と私(=魂)の調和が実現しなくなってしまうのですね。

あなたも一度は経験したことがあるかもしれませんが、自分の内側から最高の波動を生み出している感覚。これは、感情が"適切"だからこそできることです。

そんなわけで、芸術表現する人は心の動きに敏感になってあげましょう。

もしもあなたが今、心を壊してしまうような環境にいるのなら、立ち止まって考え直してみることをお勧めします。

▼こちらの動画でも紹介しています

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