こんにちは、なかむら詩子です。自然と共に暮らしながら、アートに触れる日々を送っています。

私は、ステージに立ってパフォーマンスするよりも、アーティストをサポートする役割のほうが、情熱を注げるタイプなんです。仮歌やアートイベントを運営していた時期もあります。今でも、作編曲家の夫を妻として支えていますので、どこかそういう星の下に生まれた人間なのかなあと、自分では感じております。

そんな私が、ボイストレーニングにこれほどまで情熱を注ぐ理由を「ボイストレーニング物語」としてご紹介します。ピンときた目次からどうぞお読みください。

目次

■ ボイストレーニング物語のはじまり

20年も前のことになります。子どもの頃からアトピーがあった私は、大学を受験する年の夏、ストレスによりひどく悪化してしまったのです。睡眠がとれず、勉強にも集中できません。それを知った国語の先生が、自分も治療していたからと、活性酸素に注目した治療を教えてくれました。紹介していただいた病院に通うところなんと半年。あれだけひどかった皮膚がきれいになってしまったのです

人間が本来持っている自然治癒力は、まるで奇跡のような力を発揮します。そして、その治癒力を最大限に引き出すためには、自然の法則を理解することが重要であると気づきました。

この気づきは、私の人生を大きく変えました。 以来、自然音を使ったヒーリング音楽や自然療法などを楽しみ、大人になった今では、発声器官の自然の法則に従ったボイストレーニング―ボイストレーニングの聖典と呼ばれるフースラーメソードを学び、自然と調和した愛ある世界をアートを通じて表現しています。

■ 「声」とは、魂が表現する総合芸術である

私には「声」を失った時期が2回あります。1回目は30代に入る頃。人生でいちばん多忙だった時です。昼夜逆転で働く日もあり、続けていたら自律神経が乱れ、皮膚掻痒症と鬱状態でドクターストップになってしまったのです。

眠りは浅くなる。シャワーの水圧だけで痒くなり、お風呂場でずっと掻き続ける。おまけに鬱状態ですから、気力ばかりでなく体力もなくなり、散歩がてら隣駅まで歩くだけで寝込むことも。車椅子があったほうがいいかな?と本気で検討をしたこともあります。

こうなる予兆はあったのです。それは仕事の電話をしているとき。「もしもーし?あれ?もしもーし!」私の声に対して、向こうが尋ね返すのです。そしてこう伝えられました。「詩子さんの声、インターホンでも聞こえないんだよね」そんなことある?自分では普通に喋っているつもりでしたので、なぜだろうと思っていたら、ドクターストップです。自宅療養しているときも、Googleの音声検索が自分の声に反応しなくなったことがありました。

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2回目も原因はストレスでした。1回目からかなり年月が経ち、すっかり元気を取り戻していましたが、私にとって声と心は深く結びついているのです。

声が定まらなくて、歌うと喉の奥が硬直して小刻みに震えている感じに。張力がなくなってしまったような声でした。この時はもうボイストレーニングを始めていたので、トレーニングを続けながらとにかく心の休息をとると、4~5日くらいで戻り始め、1週間もすると元の声になりました。

「声」を失った2回の経験で私は、どんなにからだをトレーニングして、上手に歌えたとこで、幸せでなければ意味がないと知りました。むしろ自分が無価値にも思えてくる。自分のアイデンティティと繋がって、人生を自分らしく彩り、心の底から、魂から表現できなければ、その声は無力である。人生を変えるほどのパワーはないのです。

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私は、自分のアイデンティティでもある「」について、習得していたボイストレーニングだけに頼らず、新しい視点から解釈をし直すことにしました。喉(からだ)を解放するだけでは、器をよくしただけなのです。つまり、いくら肉体が「準備」できていたとしても、心が動かなければ声は出ないのです。肉体を動かそうとするエネルギーが働かないことには、どんなにトレーニングで磨いた肉体も、無力で綺麗な空(から)の器です。

歌いたいという気持ちが湧き起こらなければ、結局は歌えないのですね。実はこれ、私がずっと勉強していた発声研究者のフレデリック・フースラーの言う「歌いたい衝動」のことでした。(※)

からだ、心、心を動かすための精神。これらが一体となり、オーケストラのように総合的に奏でることができて初めて、私たちは本当に「声」を出すことの喜びを知れるのではないでしょうか。そしてこのオーケストラの指揮者は魂=本来の自分です。「声」とは、魂が表現する総合芸術なのですね。

※ フレデリック・フースラー/イヴォンヌ・ロッド=マーリング 著 須永義雄/大熊文子 訳『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ―』音楽之友社 9頁 3行目

人生がゆっくりと回転するように180度、変化する

私がボイストレーニングで発声を学び直したいと決意してから、かれこれもう4年の月日が流れました。トレーニングを続けていると、今まで出せなかった低音域も楽に出るようになり、またみるみると声が大きくなるので、夫が私の声をうるさいと言うようになりました(笑)

変化は声だけではありません。

NOが言えるようになりました。不思議なことに、自分の心の「声」までもが楽に表現できるようになりました。それから、からだを大切にするようになりました。それまでも健康には気をつけていましたが、口に入れる物、肌に触れるもの、自然とよいものを取り入れたいと「気持ち」が変わるようになりました。頭で理解して、よいものだからと取り入れるのではなく、からだが自然と欲して、且つ気持ちも明るくなるので、ポジティブに「選択」しているような感じです。

私は昔から心因性咳嗽という咳に悩んでいたのですが、こちらは低音域が出るようになるにつれ、喉のバランスはもちろん、(はら)が据わってきて咳が出なくなりました。(余談ですが本来声をお腹から出すというのは、東洋的な考え方の『「肚から声を出す」=「魂を込めた声」』のことです※2)途中から、ロベリアというお花のチンキも使うようになりました。1日7滴、コップの水で薄めて飲用するんです。低音域の発声とロベリアの二刀流で、咳が出なくなったので、人とスムーズに話し合いができるようになりました。

あと頑張らなくなりました。ストレスをかわせるようになり、他人にも「えっ、詩子さんすごくない?」と言われるほどに。

およそ4年かけて人生がゆっくりと回転するように180℃変わりました。その頃から、今ある暮らしや周りの自然がとても美しく見えるようになりました。こんなこともありました。いつも歩いている河辺の景色が、まるでモネやゴッホの絵画のように見えたんです。葉の一枚一枚、風が動く様子が、あのゴッホの筆のタッチのように見えて、絵画の中にいるような気分になったのです。

波をスーパースローカメラで撮ると、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」の波のような動きを確認できるそうです。つまり何を言いたいかと言うと、アーティストたちは、本当にそう見えて描いていたということです。モネやゴッホも、あのようなタッチで描くのはなぜかといえば、そう見えていたから。私が見た河辺の光景は、夢物語でも何でもなく真実なのです。本来の自然の姿とは、まさに絵画のような美しい景色なのです。

人生が変わるとはそういうこと。ここまでの「美」を自らのからだを通して経験するから、表現したい、歌いたいという「衝動」が生まれるのです。頭で考えた次元をはるかに超えていました。

私は、ただ気分よく歌えればいいという理由で、わざわざボイストレーニングなんて始めていないんです。声を「よく」することの本質を理解し、その奥にある自然の摂理―宇宙の真理に安らぎを見出し、そこに幸せがあると本能が知っているから、発声するのです。

私は自らの経験から、大自然の法則を信頼しております。ひとりのボイストレーナーとして、人間が本来持っている奇跡のような力を発揮すべく「声を出すこと」の素晴らしさを伝えたていきたいのです。アトピー治療で自然の法則に気づいたのをはじめ、数々の経験から、人生が大きく変わる「声」との向き合い方を学びました。あなたも私のように、愛に溢れた幸せな人生を築かれていかれて欲しいと願います。

※2 武田梵声『最高の声を手に入れるボイストレーニング  フースラーメソード入門』日本実業出版社 29頁1行目~31頁12行目

■ ある日、届いた幸せの手紙

ある日、嬉しびっくりなメールをいただきました。検索すると動画がヒットしちゃうかな?と思ったので、一部を伏せております。

なんとレッスンを受けてくださった生徒さまが、好きを突き詰めて行ったら運命のお相手を見つけたとのこと!

実は昔から、なぜか私が運営するコミュニティやイベントでカップルが誕生したり、妊娠する人が多かったのです。イベントを観に来てたまたま隣に座った人同士がカップルになったり、参加者同士がご結婚されたり、妊娠も3回ありました。私自身も、夫とは私が主催するアート活動で出逢い結婚しました。ですから、生徒さまも!!!とびっくり。

カップル、妊娠、結婚。どれも人と人との「出逢い」です。異なるもの同士が結ばれ、新たなステージへと向かいます。

リラックスしたり、素の自分を表現できるようになったりして、魂・心が開かれて、エネルギーが変わるんじゃないかな?と自分では思っています。桃太郎の桃がパカン!と割れるみたいに「素」が覗く感じです。本当の自分が見えるとパーッと輝きますから、お相手から見つけやすくなり、カップルが誕生するのかな?と思ったり。

それと同時に、ああ、やっぱり人生が幸せに変化したと、自然の法則の確かなパワーに納得しました。そしてその時、ふとひらめきました。そうか!私がやっていることは、声を単に「よく」するお手伝いではなく、「人生が大きく変わるボイストレーニング」だったんだと。このひらめきをきっかけに、今までバラバラに散らばっていたパズルのピースが、パパパパパーッ!とひとつの線に結ばれていきました。

喉(からだ)を解放するだけでは、器をよくしただけ。この視点は本当に大切です。なぜなら、人生が大きく変わり、愛に溢れた幸せな人生を築かれていかれていくためには、「声」との向き合い方が最重要なのです。

私の場合、自然とそれをやっておりましたが、まだよくわからない、模索中だという方には、必ずやお手伝いができると思いました。実はプロの声優さんも、私のこのようなお話に「新たな発見があって楽しい」と言ってくれるんですよ。あなたも学んでみませんか?