
採用しているメソード
私が採用しているボイストレーニングは、三大ボイストレーナーのひとり、発声研究者フレデリック・フースラー(Frederick Husler, 1889-1969)が提唱するフースラーメソードです。
今から何十年も前から存在している素晴らしいボイストレーニングで、メソードのエッセンスを遡れば、17世紀もの昔にイタリアで学ばれていた正しい発声を現代に復興させたものです。
このメソードでは、喉の中にある「よい」声を出すのに重要な筋肉、だけど普段は使われていない筋肉(喉頭懸垂機構)を動かしていくことで、正しい発声フォームを獲得していきます。
人間が持つ自然な筋運動から声が出るので、野生の鳥のような声がピャー!!ッと出るようになります。
また、原始的な母音を発声するところから丁寧に"やり直す"ので、声の基礎力が向上します。結果、声の品質も底上げされるため、声優・俳優・歌手といったプロフェッショナルにとても喜ばれているメソードです。
フースラーの著書『Singen (うたうこと)』はボイストレーニングの聖典と呼ばれて、今もなお歌うこと、表現することに情熱的な人たちに愛されています。
なぜ声が出ないのか
フースラーの研究によると、私たちの発声器官は、もともと「よい」声で歌い、健全な声で表現する機能が最初から備わっていることがわかっています。(人類は最初からそういうふうに作られているー歌うことは人間の属性)※1
しかし現代の私たちを見ると、日常生活や社会生活でのストレス、ショービジネスにおいて過度に求められる『きれい』な声、思考過多によって、想いを声に出して表現するという生物としての本能を閉じ込められています。
この状態はまるで、喉にカギをかけられているかのようです。
実際、喉の中は硬直し、動きが悪くなり、本来の筋運動ができなくなっています。出せるはずの声が出ず、声量・響きは足りず、その結果、思うように声が出ない、表現できない、という状態に陥ってしまうのです。
本来の声を取り戻す
喉にかけられたカギを開けていこう!発声器官の自然の法則に従って、本来出るはずの「よい」声を出していこう!そういうボイストレーニングを広めていこう!というのが、フースラーメソードの特徴であり、私が力を入れているボイストレーニングです。
具体的には、以下のようなトレーニングを行います。
喉頭を懸垂する筋肉(喉頭懸垂機構)を、アンザッツ※2という7種類の音色(倍音構成)を発声しながら刺激し、動かし、鍛え、神経支配をよくしていきます!
簡単に言うと、喉の中の未使用の筋肉を動かして、自然な筋運動から声を出せるようになろうというものです。
ボイストレーニングとは、いわば喉の機能回復を目指すものなのです。ボイストレーナーは、声を「直す・治す」人とも表現されます。
私は、この自然な筋運動から生まれる本来の声のことを「あなたオリジナルの声」「声の土台」「根っこ」などと呼んで、レッスンでも声の土台を育てることを目指しています。
フースラーメソードについてもっと深く知りたい方は、フースラー理論の第一人者の武田梵声先生の書籍を読んでみるのをお勧めします。書籍は教室にも閲覧用として置いてあります。気になる方はお気軽にお声がけください。
※1『フレデリック・フースラー/イヴォンヌ・ロッド=マーリング 著 須永義雄/大熊文子 訳『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ―』音楽之友社 (2019年)9頁3行目~4行目
※2 ドイツ語で「当てる」「焦点を決める」という意味
こんな方におすすめ
- 喉のセルフケアのために
- 歌・芝居などの芸術表現のために
- 誰かに教えるためにボイストレーニングを学びたい

人間のからだの造りはみんな同じ!やり方さえ間違わなければ、続けることで声は必ず「よく」なります!
