【ボイトレ実録】フースラーメソード1年目に私がやったこと
こんにちは!ボイストレーナーのなかむら詩子です。
今回から3回に分けて、ボイストレーナーの私自身が、フースラーメソードを始めてから1~3年目のトレーニング記録と、歌声の比較音源を公開いたします。
実際に学んできた人が、どんなプロセスを経て「声」が変化したかを、記録と音源で知ってもらうことで、これからこのメソードによるボイストレーニングを始めたいと思っている皆さんが、少しでも安心して学んでいただけたらと思いました。
今回は、1年目の記録をご紹介いたします。
変化と気づき、トレーニング内容、成長のポイントなど、順を追って、どうぞ最後までお読みください。
※ブログタイトルを変更、且つ見やすくまとめ直しました(2026年2月14日)
目 次
01|フースラーメソードを始める前
🗣️Beforeの声
まずは動画を通して、フースラーメソードを始める前の声を聞いてみましょう。
声が細く、突っ張ったような音色ですね。スカスカ、カサカサしていて、喉の中をただ息が通っているだけの印象です。
また、メロディをなぞって声を出しているだけ。声に情緒が込められておらず、楽曲の個性も引き出せていません。
- か細く、突っ張った音色
- スカスカ、カサカサ
- 喉の中をただ息が通っているだけ
- メロディをなぞっているだけ
🔍なぜそのような声になっていたのか?
分析してみると、以下の3点に気づくことができます。
- クラシックを歌っていた期間が長かったため、1つの発声だけを抜き出してやり過ぎていた
- 喉頭懸垂機構(「よい」声を出すのに重要な筋肉)の動きが悪い
- ②のため微細な感情表現ができず「一本調子」に聞こえる
- 特に①は危険です。声は筋運動ですので、あまりに長く頑なにひとつの音色(音像)をやり過ぎてしまうと、他の重要な発声器官の働きが悪くなってしまう(=筋バランスが悪くなる)からです。
フレデリック・フースラーの『うたうこと』では、このことを「ひとつの機能の孤立と、他の機能の停止」という言葉で表現し、注意を促しています(※1)
02|変化の記録
私はフースラーメソードを学んでから、以下のような変化の記録を付けています。
この記録をもとに、1年目、2年目、3年目と、私が3年間でどんなことをやってきたのか?見てみようというわけです。

ちなみになぜ「3年」なのかというと、だいたいどの世界でも「3年間食いついていければプロになれる」なんて言われるので、ひとまず3年にしました。
フースラーメソードは、最低6年はやらないとちゃんと理解できないと言われています。(※2) 私もそれ以上続けています。
ボイストレーニングって、終わりがないんです。飽くなき探求ですから、自分で終わりにすれば、終わりという世界。ですから、入門・初学者の皆さまに向けて発信するなら、まずは3年続けて欲しいな~という願いを込めて、3年にしました。
03|始めてから1~3ヵ月
「記録なし」は、まだ記録することが習慣化されていなくて抜けていたり、忙しくて付けていなかったり、特記事項がなかったりです。ご了承ください。
🗣️ この時期に行ったトレーニング
- 喉頭を上下に揺らす練習
- アンザッツ4番、5番を単音で出す
- 裏声の4番のフォームと、音色の確認に時間をかける
🗓️ 変化と気づき
🐣1ヵ月目
- 喉頭を上下に揺する運動ができない
💬2ヵ月目
- 記録なし
🪴3ヵ月目
- トレーニングをする意味・価値がわかりマインドが変わる
- 最初は喉頭を上下に動かすことが困難で、また裏声・地声の理解も曖昧でした。
- 3ヵ月目にマインドが大きく変わったのは、武田梵声先生の『「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門』がきっかけです。
- 上記の第4章に深く共感し、メソードの本質、なぜこのボイトレが素晴らしいと言われるのか(WHY)がわかり腑に落ちたのです。
- トレーニングの意味が明確になったことで、マインドが切り替わり、目的地へと真っすぐ向かうことができたのです。
🌱 この時期の成長ポイント
- マインドの変化は、声の変化すら決める
- 焦ることなく、喉頭を上下することから丁寧に積み上げた
- スカスカの音色に対して、アンザッツ5番で声帯の閉鎖を促した

04|始めてから4~6ヵ月
この頃になると明らかな変化も出て、ボイトレがさらに面白くなってきます。
🗣️ この時期に行ったトレーニング
- 喉頭を上下に揺らしたり、喉頭位置を確認したりする
- アンザッツ4番、5番、1番を単音で出す
- アンザッツ2番の声真似
🗓️ 変化と気づき
💬4ヵ月目
- 記録なし
🧭5ヵ月目
- 喉頭が「上がる」感覚を初めて体感
- 初めてアンザッツ2番をやるがまったくできない
- そもそも地声の出し方がわからない
- 咳喘息が出る
🔜6ヵ月目
- 声の『鳴り』が変わり、音色の質が明らかに変わる
- 5ヵ月目に地声のトレーニングを初めて行いますが、まったくできませんでした。私はクラシックの発声(ソプラノ)が長かった分、低音域をまったくと言っていいほど、開発してきませんでした。
- これに対し、アンザッツ2番の声真似(デフォルメする)からアプローチし、段階を踏んで成長しています。
- 6ヵ月目で、声の『鳴り』が変わったときは驚きました。私の生徒さまも同じような表現をされますが、この感覚って、ほんと「初めての体感」なんです。ボイストレーニングのすごさを目の当たりにした瞬間でした。
- 咳喘息の症状が出ています。普段より喉に息を通していたので、喉が過剰に反応してしまったようです。一時的にアレルギー薬を服用し、声帯を閉鎖する力が蘇ってくるにつれ解消されました。
🌱 この時期の成長ポイント
- 喉頭の動きがよくなり、声が明らかに変化したことで、実体験を通して、声が出る仕組みに納得できた
- ボイストレーニングの価値に感動した
- 引き続き、声帯閉鎖を促した(5番・1番)
- まったく出ない地声には、声真似(デフォルメする)でアプローチした

05|始めてから7~9ヵ月
レッスンにも慣れてきて、ますますボイトレにハマってくる頃です。
🗣️ この時期に行ったトレーニング
- アンザッツ4番 → ストレートに発声できるように、息の力で発声し過ぎないように、喉の道幅を広げる etc.
- 裏声の下降訓練
- アンザッツ1番、5番(裏声、声帯閉鎖を促す)
- アンザッツ2番っぽいこと(2番をしっかりするにはまた難しい)
🗓️ 変化と気づき
🐣7ヵ月目
- 咳喘息が治まる
- アンザッツ4 の喉頭位置がわかってくる(日によってわからなくなる)
- 今まで地声をしっかり使う習慣がなかったため、うがいの時も裏声だと気づく
🪴8ヵ月目
- 自分で無意識に操作してしまっている声と、そうではない声との違いをはっきり区別できるようになる
🧭9ヵ月目
- 喉周りの筋膜が柔らかくなる(引っ張っても痛くない)
- 毎日10分は必ずトレーニングする習慣が身につく
- 声帯・喉頭懸垂機構の図を使って視覚で学ぶように
- 6ヵ月目で明らかな声の変化を体験したことにより、本来の発声から出た声と、そうではない声に気づけるようになりました。
「これをやったから、こうなった」というふうに、理に適った成長ストーリーが見えるのも楽しいですよね。
- またトレーニング習慣が身についたことは大きいですね!主体性が育ち、レッスンが楽しみになり、成長のサイクルができました。
- ボイストレーニングにおいて「聞くこと」はとても重要ですが、モヤモヤの解消には、視覚で学ぶことも有効です。このメソードは、お手本の声だけでなく、解説も聞きながらでないと、なかなかピンときづらいと思います。ピンとこないでやり続けても、心がついて行かないです。また情報を上手く消化できないことから、劣等感を抱いてしまったり、キャパオーバーになったり、結局は「続かない」となってしまいます。
言葉だけで解説を聞くより、イラストを見たほうがイメージがつきやすく、納得しやすいです!
それと、私がレッスンでオリジナルテキストを作成し、図も見ていただいているのは、「生理学的にちゃんとできているか」に意識を向けて欲しいという狙いもあります。
スポーツ選手が、からだの知識がまったくないで運動しないように、歌や芝居においても、自身のからだのことにもしっかり目を向けましょう。丁寧な筋運動を積み重ねることが、成功の秘訣です。
🌱 この時期の成長ポイント
- 本来の発声から出た声と、そうではない声の違いがわかる
- トレーニング習慣が身につく
- 視覚で学ぶことにより、ボイストレーニングの理解がよりクリアになり、成長の速度が上がる

06|始めてから10~12ヵ月
とうとう1年を迎える頃です。声の質が大きく変わり、歌声にも表れるようになりました。
🗣️ この時期に行ったトレーニング
- アンザッツ4番の精度を上げる
- 裏声の下降訓練
- アンザッツ1番、5番(裏声、声帯閉鎖を促す)
- アンザッツ2番っぽいこと(2番をしっかりするにはまた難しい)
🗓️ 変化と気づき
🔜10ヵ月目
- 歌声が明らかに変わってくる
- 声量、地声と裏声の繋ぎ目の質感が変わる
🌕11ヵ月目
- 喉頭位置が下がり過ぎる癖を自覚できる
- 上記の癖を自分で修正できる
💬12ヵ月目
- 記録なし
- 本来の発声から出た声と、そうではない声の違いがわかるばかりでなく、自分で修正することができるようになったのは、大きな成長です!
- 9ヵ月目で、喉の筋膜が柔らかくなっていましたが、すると翌月には、声量・声の質感がしっかり変わっています。ここでも理に適った成長ストーリーが見られましたね。
- 順を追って、段階的に着実に成長するので、トレーニング方法を信頼して、安心して取り組んでいます。
こういう心理面の影響も、レッスンではとても重要だと私は思っています。
🌱 この時期の成長ポイント
- 癖を自覚するだけでなく、自分で修正できるようになった
- 成果が歌声に表れるにつれ、今の自分のやり方を信頼して、安心して取り組んでいる(=心理面へのよい影響)

07|どんな未来を実現したいですか?
フースラーメソードによるボイストレーニングを始めてから、1年間の記録を振り返ってみました。
いかがでしたか?これだけしっかりレッスンすれば、声が変わるのにも納得できますね!
フースラーメソードは、「ボイトレの聖典」と呼ばれるほどの素晴らしいメソードにも関わらず、難解、時間がかかる等の理由から、続かなかった人が多かったり、そもそもやっている人が少なかったりします。
これ、本当にもったいないです。
発声について学ばなくても、持って生まれた声で、歌や芝居に打ち込める現状も十分素晴らしいことです。
でも、ボイストレーニングを行うことによって、その声は2倍3倍にも品質が底上げされます。毎回コレジャナイと悩んでいた声も、新しい体感と共にガラッと変わり、自信を持って成果に繋げていけるでしょう。
今の自分に必要な発声知識と、理に適ったトレーニング方法を身につければ、スランプに陥ったときも、自分の力で軌道修正できます。
今よりも歌える曲、演じられる役が増える。回り道することなく、自分の好きなことに真っすぐ打ち込められる。自信を持って堂々と声を出せる人生になったら、あなたはどんな気分ですか?

発声について、もっと詳しく学んでみたいという方は、最後に、レッスンのお申し込み先となるフォームのURLを貼っていますので、ぜひご連絡ください。
現在、ご利用中の生徒様もいらっしゃるため、すぐに予約が埋まってしまう可能性が高いので、今まさにボイストレーニングを始めようと考えている方は、お早めにお申込みをお願いいたします!成長の機会を逃さないでくださいね。
(2年目以降のお話は、後日更新させていただきます)


教室YouTubeもご覧ください
※1 フレデリック・フースラー/イヴォンヌ・ロッド=マーリング 著 須永義雄/大熊文子 訳『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ―』音楽之友社2019年(146頁27行目~147頁1行目)
※2 武田梵声『最高の声を手に入れるボイストレーニング フースラーメソード入門』日本実業出版 2018年(86頁7~8行目)








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